1954年にLAで旗揚げしたクリフォード・ブラウン~マックス・ローチ・クインテットは、1956年にブラウンが自動車事故で急死したため、活動期間は短かったものの、50年代を代表する名コンボとして後世に語り継がれている。無類の歌心を持ったトランペッターと音楽性豊かなドラマーの組み合わせは、相性も抜群、ハードバップの魅力を存分に聴かせてくれる。このバンドに関しては、どのアルバムも素晴らしいのだが、本作または『Clifford Brown & Max Roach』からスタートするのが順当だろう。
本作は55年2月のセッションで統一されているところがいい。< 1 >「Cherokee」はインディアンの太鼓を模したローチのドラミングがユニーク。エリントン・ナンバーの< 9 >「Take the “A” Train」は列車が出発する様子、ハーレムに到着する様子を再現していて、思わずニヤリだ。それにしてもブラウンのソロは圧倒的。トランペット本来のブリリアントな音色といい、ひらめきに富んだソロといい、背筋がゾクゾクしてくるほど興奮する。天才トランペッターとは、まさにこの人のことだ。(市川正二)

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